永い言い訳/年代流行
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- 発売日:2015年2月25日
- 著者:西川美和
- 出版社:文藝春秋
- ページ数:399ページ
【解説】
長年連れ添った妻・夏子を突然のバス事故で失った、人気作家の津村啓。悲しさを“演じる”ことしかできなかった津村は、同じ事故で母親を失った一家と出会い、はじめて夏子と向き合い始めるが…。突然家族を失った者たちは、どのように人生を取り戻すのか。人間の関係の幸福と不確かさを描いた感動の物語。
【あらすじ】
主人公は人気作家の津村啓です。津村啓というのはペンネームであり、本名は衣笠幸夫。野球界の名選手と同じ響きを持つ名前であることが唯一のコンプレックス。幸夫には長年連れ添った妻がいた。美容師である妻・夏子は、幸夫がまだ食えない作家だったころから、幸夫はいつか大成するはずだとその生活を支えてきた。しかし、幸夫が売れっ子作家になった今、夏子の幸夫への思いはその自負から歪んだものに変容しており、二人の仲はすっかりと冷え切ったものになっていた。
そんなある日、夏子は友だちとバス旅行へと出かけ、事故にあい、帰らぬ人となってしまう。幸夫は事故の連絡を受け、妻の亡骸と対面するが、涙を流す事さえできない。そんな折、同じく事故で妻を失った家族に出会う。その夫・大宮陽一は愛する妻を失った絶望や怒りや悲しみを隠すことなくあらわにする。大宮家には二人の子供(小6の真平、4歳の灯)がいた。幸夫は、母を失い、生活に困窮する大宮家を助けるため、一肌脱ぐことを決意する。