告白/年代流行
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- 発売日:2005年3月25日
- 著者:町田康
- 出版社:中央公論新社
- ページ数:676ページ
【解説】
人はなぜ人を殺すのか―。河内音頭のスタンダードナンバーにうたいつがれる、実際に起きた大量殺人事件「河内十人斬り」をモチーフに、永遠のテーマに迫る著者渾身の長編小説。第41回(2005年) 谷崎潤一郎賞受賞。
【あらすじ】
時は幕末~明治初期。主人公・城戸熊太郎はの河内(大阪南部)の平凡な農家の息子として生まれる。もともと気弱で鈍くさい子供だった熊太郎であるが、彼はなぜか明治初期の農家の子としては異常なほどの思弁癖を持っていた。
他の農民が単純な考えしか持たず、そしてその考えたことを無遠慮に口にしている中、熊太郎だけはつまらないことに対してもいちいち思弁的に悩んでしまう。しかもその複雑な思考を表現するだけの言葉を持たない。この思弁癖のせいで、熊太郎はうまく物事を話すことができず、いつも歯がゆい思いをすることになるのである。
熊太郎はこの性癖のせいで何をやってもうまくいかず、やがて何かを真剣に欲したり努力したりすることを恥じる少年に育っていく。その上熊太郎は十五歳のとき、ひょんなことから葛城ドール・葛城モヘアと名乗る奇怪な兄弟に殺されかけ、葛城ドール(兄の方である)を誤って殺害してしまう。
熊太郎はこの殺人がいつか露見し、自分は死刑になるに違いないと恐れる。そしてどうせいつか死刑になるならまじめに生きても仕方ないと考える。この出来事以来、熊太郎は酒・女・博打にのめりこみ、本格的な極道になってしまうのであった。