東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~/年代流行
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- 発売日:2005年6月28日
- 著者:リリー・フランキー
- 出版社:新潮社
- ページ数:522ページ
【解説】
リリー・フランキーが、自身の母親との半生を綴ったもの。2006年と2007年にテレビドラマ化(単発ドラマと連続ドラマ)、2007年に映画化、舞台化されている。2006年本屋大賞受賞。
【あらすじ】
60年代、ボクが3歳の頃。真夜中にオトンが玄関の戸を蹴破って帰って来た。酔っぱらったオトンはボクに焼き鳥の串を食わせ、そしてオカンにホウキで殴られた。
故郷の小倉で、オカンとオトンとボクの3人が暮らした短くも幸せな日々の、それが最後の思い出だった。オトンの家を出て、オカンはボクを筑豊の実家に連れ帰った。
オカンは妹の“ブーブおばさん”の小料理屋を手伝いながら、女手一つでボクを育ててくれた。オカンの作ってくれる美味しいご飯を食べてボクは大きくなった。オカンは近所の人たちと花札に興じたりして、酒乱のオトンから解放された自由をそれなりに謳歌もしていた。ボーイフレンドらしき人ができたこともある。オカンもまだ若くて、女だった。
中学3年になったボクは寂れた町を出て行きたくなった。早くオカンを自由にしてあげたいという思いもあった。大分の美術学校に合格し、一人で下宿生活をすることになった春の日。
駅まで見送りにきたオカンがボクに持たせたカバンには、新しい下着と弁当箱と、しわくちゃの一万円札を忍ばせた封筒が入れてあった。列車の中、オカンのおにぎりと漬け物を噛みしめて、15歳のボクは泣いた。