血の轍/年代流行
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- 作者名:押見修造
- 連載誌:ビッグコミックスペリオール
- 出版社:小学館
- 単行本:既刊4巻(2018年9月28日現在)
【解 説】
「惡の華」「ぼくは麻理のなか」「ハピネス」「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」・・・傑作を次々と送り出してきた鬼才・押見修造、渾身の最新作!
母・静子からたっぷりの愛情を注がれ、平穏な日常を送る中学二年生の長部静一。しかし、ある夏の日、その穏やかな家庭は激変する。母・静子によって。狂瀾の奈落へ!
【あらすじ】
中学二年生の長部静一と、母親の静子は一見すると何の変哲もない親子である。静子の、静一に対するスキンシップは、並よりも過剰ではあったが、当人らの間では気にすることではなかった。従兄弟のシゲルは、静一が幼稚園児だったころ、静子が毎日教室の後ろで立っていたことを取り上げ、静一の家庭は過保護だと笑ったが、静一は真顔でそれを否定した。
夏休みになり、静一の一家は親戚らとともにハイキングへ行った。山道の途中で休憩している最中、シゲルの悪ふざけが原因で崖の付近で足を滑らせた静一を、静子は思わず抱きとめる。その様子にシゲル、シゲルの両親、祖父母夫妻、静一の父親さえも、静子は過保護だと笑うのだった。その言葉が静一の頭には色濃く残っていた。
さらに進み、彼らはレジャーシートを広げて昼食を摂った。シゲルは静一を誘って、2人で探検に出かけた。先程よりもずっと高い崖の近くで、2人は先程起こった出来事について、軽い口論になる。そのとき、静一の背後に静子が現れた。静子は崖の淵に立つシゲルに戻るよう注意するが、シゲルはふざけて片足立ちをしてみせた。するとシゲルがバランスを崩し、崖から転落しそうになる。危ういところで静子がシゲルを抱きとめる。シゲルは静子から離れようと身をよじるが、彼女の顔を見た途端に困惑する。静一からは静子の表情が読み取れず、何が起こったのかわからなかった。次の瞬間、静子はシゲルを崖から突き落とした。呆気に取られた静一に静子は振り返ると、優しく微笑んだ。かと思うと、静子は突然取り乱した様子を見せ、静一に他の大人を呼ぶように促した。
大人達を連れて崖へ戻ると、静子が抜け殻のような姿で座り込んでいた。シゲルを助けようと大人達は行動に出るが、静一は様子のおかしい静子についておくように父親から頼まれる。静子は意味不明な言葉を延々と呟いていた。静一が呼びかけると静子ははっと彼に気づき、体を預けるのだった。