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満願(文庫本)/年代流行

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満願
  • 著者:米澤穂信
  • 発行日:2017年7月28日
  • 出版社:新潮社
  • ジャンル:ミステリー
  • ページ数:422

【解説】
「もういいんです」人を殺めた女は控訴を取り下げ、静かに刑に服したが…。鮮やかな幕切れに真の動機が浮上する表題作をはじめ、恋人との復縁を望む主人公が訪れる「死人宿」、美しき中学生姉妹による官能と戦慄の「柘榴」、ビジネスマンが最悪の状況に直面する息詰まる傑作「万灯」他、全六篇を収録。史上初めての三冠を達成したミステリー短篇集の金字塔。山本周五郎賞受賞。

【あらすじ】
夜警:主人公は交番に勤務する警察官。頻繁に交番に訪れていたDV被害者の妻より包丁を持って夫が暴れていると通報があり、急いで駆けつける警察官たち。逆上して襲いかかる夫に警官が発砲して対抗するも、あえなく殉職してしまう。その警官の葬儀で物語は幕が開けるーーー。

死人宿:突然姿を消した彼女・佐和子が、栃木の山奥にある温泉宿で働いていることを知った主人公は、とるものもとりあえず宿に車で向かう。苦労して辿り着いた宿で佐和子が姿を消した理由を知り、心を痛める主人公。佐和子は、自殺の名所として有名になったこの宿(だから死人宿と呼ばれる)にある温泉の脱衣所に、遺書が置き忘れられていることに気づく。しかし今宿泊している3人の客の内、誰が書いた遺書なのかわからないので、主人公に解明を依頼することになる。

柘榴:さおりは美人に育ち、自分が美人であることを誰よりもよく理解していた。決してそれを鼻にかけず、美人であることにより得られる幸せを享受しつつ傲慢にならぬよう注意する、冷静さを併せ持っていた。 大学のゼミで出会った佐原成海は特に美男子というわけではなかったが、誰もが彼を好きにならざるをえない不思議な魅力に溢れていた。必然的に女生徒同士で取り合いが起こり、美しさを武器にさおりは成海を得ることに成功する。

万灯:「ビジネスマンたる者、職場に出たら親の死に目にも会えないと思え」
仕事一筋に生きる伊丹は、東南アジアで資源開発に挑んでいた。発展途上国でエネルギー開発を推し進めるのは命がけだ。日本で交渉するのとはわけが違う。賄賂は当たり前だし、場合によっては手荒な行為を選択しなければならない。

関守:伊豆のある田舎道。そのカーブでは4年に4件、つまり1年に1回のペースで車の滑落事故が起きている。特に急なカーブというわけでもなく、スピードを出しすぎてでもいない限り落ちはしない場所だ。 ライターとして飯を食っている主人公は、食い扶持に困っていたあるとき、都市伝説にまつわる記事執筆の仕事を得る。ほとんどは適当に書いてしまったが、特集のひとつを埋めるため、譲ってもらったものの嫌な予感がすると止めに入った先輩の言葉を流し、その事故の現場に赴くことになる。

満願:刑期を終え出所することになった、私が学生時代に下宿していた家の内儀。長くお世話になったこともあり、内儀の罪をとにかく軽いものにしようと奔走していた私は、それまで盛んに控訴を望んでいた内儀が突然「もういいんです」と断念したことに疑問を持っていた。元々は下された判決に抗おうとしていたのだ。それがなぜ・・・?

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